改善点のまとめ
本作はいくつかの点では上手くいったと言って間違いありません。しかし他方で、期待通りに機能しなかった箇所もあります。中でも、大本となる謎が気づかれなかった点については、最大の失敗と呼べるでしょう。その原因は複合的なものだと考えられますので、それらを個々に挙げ、改善点を考えてみます。そもそも難しかった
まず、そもそもに謎が難しかったというのが理由の一つでしょう。もう少しきちんというならば、来場者と想定来場者に乖離があったということです。ニコニコ超会議にお越しになる方に、謎解きに熟達した方は多くはなく、また熟達した方も後述の理由により実力を出し切れない状況でした。会場の盛況さ
ニコニコ超会議は抜群の盛り上がりを見せ、本年も盛況でした。それ自体は素晴らしいことですが、謎解きにとっては若干の弊害でもあります。落ち着いて考えづらいのです(さらに近くにはメインステージが存在しており、そこからパフォーマンスの音響が常に鳴り響いていました。実に幸運なことですが、これもまた謎解きの難易度を上げています)。謎解きに熟達した方が実力を出し切れない理由がこれです。グラフィックデザインの強調不足
メインの謎は参加証のデザインに隠されていましたが、そのデザインが明瞭とは言えませんでした。回答に繋がる装飾はアート的に作成されており、真実を隠すようなデザインになっていました。それだけであれば、特に問題と言うわけではありません。そのレベルの気づきを要求する謎解きがあっても問題ではないですし、そのくらいでないと歯ごたえがないという方もいらっしゃるでしょう。失敗を活かして
本作では学ぶところが多数ございました。良かった点は残し、悪かった点は改善し、今後のゲーム作りに生かしていければと考えております。また、私の失敗からあなたが学ぶことが僅かにでもあれば、とても嬉しく思います。世界観の元ネタ
本作には大きな元ネタが2つあります。そちらについてもここで書かせて頂こうと思います。狂気渦巻く神話世界
1つ目は分かり易いところで、『クトゥルフ神話』です。こちらは前面に押し出して作成したため、気付かれた方は非常に多いでしょう。本作の世界観は、シェアード・ワールドとしての『クトゥルフ神話』を下地に置いて作成されていると考えて間違いございません。かの神話群に詳しい方は、贄を捧げられていた強大な邪神が何者なのかも、この舞台を用意した不思議な女性の正体もお気づきではないでしょうか。狂気香る児童文学
もう1つはエッセンスを配置してオマージュにしたとかそういう感じで取り入れています。宮沢賢治の『注文の多い料理店』です。プレイヤーがそれと気づかぬままに狂気的な行動を行い、最期には贄に捧げられる(まあ、助かりはするのですが)という流れは『注文の多い料理店』に似ています(さらに個人的な感想を言うならば、かの作に感じられる狂気はクトゥルフ神話群とも通じるところを感じます)。そこで本作の様々なところにオマージュを取り入れ、その狂気をお借りできればこれ幸いと仕立てました。本作の幾つかの問題は、オマージュとしてのフレーバーが取り入れられています。改めてご覧になってはいかがでしょう。おわりに
本ページもこれにて終わりとなります。長文乱文、お読みいただき、またここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。謎解きに関しましては、また行うかどうかは微妙なところです。少なくとも本年中は他に作りたいゲームが多数あり、難しいと考えています。もちろん、再び謎解きを作らせて頂く機会があれば全力で取り組ませて頂きます。